やさしい税務会計ニュース
やさしい税務会計ニュース
文書作成日:2025/05/13
国外で購入した貨物を国内の保税地域を経由して国外へ譲渡した場合の消費税の取扱い

[相談]

 当社は貿易業を営んでいます。
 このたび、A国で購入した貨物について、いったん国内の保税地域を経由した後にB国に所在する企業に譲渡したのですが、この貨物の譲渡は、消費税法上の輸出免税の対象になるのでしょうか。上記の貨物については、我が国での輸入手続は経ていません。

 なお、保税地域とは、税関によれば、「輸出入貨物を法の規制下に置くことにより、秩序ある貿易を維持し、関税などの徴収の確保を図るとともに、貿易の振興及び文化の交流などに役立てることを目的」とし、「外国貨物の積卸し、運搬、蔵置、加工・製造、展示等を行うことができる特定の場所や施設」とされています。

[回答]

 ご相談の貨物の譲渡は、消費税法上の輸出免税の対象になるものと考えられます。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.消費税法上の輸出免税の規定の概要

 消費税法では、事業者(消費税免税事業者を除きます)が国内において行う課税資産の譲渡等(※1)のうち、次に掲げるものに該当するものについては、消費税を免除すると定められています(輸出免税)。

@本邦からの輸出として行われる資産の譲渡又は貸付け
A外国貨物(※2)の譲渡又は貸付け(@に該当するもの及び一定の外国貨物の譲渡を除きます)
B国内及び国内以外の地域にわたって行われる旅客もしくは貨物の輸送又は通信
C専ら輸送の用に供される船舶又は航空機の譲渡もしくは貸付け又は修理で一定のもの
D@からCに掲げる資産の譲渡等に類するものとして一定のもの

 なお、上記の規定は、その課税資産の譲渡等が上記@からDに掲げる資産の譲渡等に該当するものであることにつき、一定の方法により証明がされたものでない場合には、適用しないと定められています。

※1 課税資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡もしくは貸付け又は役務の提供に類する行為として一定のものを含みます)のうち、消費税が非課税とされるもの以外のものをいいます。

※2 消費税法上の外国貨物とは、関税法に規定する外国貨物(輸出を許可された貨物とみなされるものを含みます)をいい、関税法に規定する外国貨物とは、輸出の許可を受けた貨物及び外国から本邦に到着した貨物(外国の船舶により公海で採捕された水産物を含みます)で輸入が許可される前のものをいいます。

2.国外で購入した貨物を国内の保税地域を経由して国外へ譲渡した場合の取扱い

 消費税法上、国外で購入した貨物を国内の保税地域(※3)に陸揚げし、輸入手続を経ないで再び国外へ譲渡する場合には、関税法の内国貨物を輸出する場合の手続規定が準用されることから、その貨物の譲渡は、消費税法上の輸出免税の対象となることとされています。

 したがって、ご相談の貨物の譲渡は、消費税法上の輸出免税の対象になるものと考えられます。

※3 消費税法上の保税地域とは、関税法に規定する保税地域(指定保税地域、保税蔵置場、保税工場、保税展示場及び総合保税地域の五種)をいいます。

[参考]
消法2、7、関税法2、29、75、消基通7-2-3、税関ホームページなど

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。



入学に際して行う学校への寄附と寄附金控除2025/05/06
合同会社の社員である法人に対して支払う役員報酬に係る所得税の源泉徴収の要否2025/04/29
法人市民税における「寮等」とは2025/04/22
消費税課税売上割合の端数の取扱い2025/04/15
課税売上割合に準ずる割合の適用を受けるための手続きと留意事項2025/04/08
贈与者が贈与した年の中途に死亡した場合の相続時精算課税選択届出書の提出先2025/04/01
取得費加算の特例を相続した暗号資産の売却に適用できるかどうか2025/03/25
会社設立2期目からの事業活動とインボイス発行事業者の登録2025/03/18
会社が負担した従業員の資格取得費用の損金算入時期2025/03/11
不動産所得が赤字の場合における損益通算の特例とは2025/03/04
予定納税額を納めていない場合の確定申告書への記載方法2025/02/25
経営コンサルタントに支払う報酬と所得税の源泉徴収義務2025/02/18
iDeCoにかかる退職所得控除額の調整制度の改正(予定)内容2025/02/11
住宅ローン控除の適用に係る手続における「調書方式」とは2025/02/04
防衛特別法人税(仮称)とは2025/01/28
お問合せ
*どんなことでも気軽にご相談下さい*

高野公認会計士事務所
税理士法人東京税経中央事務所
饗カノマネジメントコンサルティング

〒104-0032
東京都中央区八丁堀4-11-3  金谷ビル502
(東京メトロ日比谷線A2出口より徒歩30秒)

TEL:03-5540-4637 
FAX:03-5540-4638

メールでのお問合せ